聞きなれた声に呼ばれ顔を上げると、日野くんの姿がそこにはあった。



「え、日野くん」

「偶然だね」

「おい響―…って、あれ、涼風さんだ」



日野くんの後ろから、彼を追いかけてきたであろう北村くんが顔をのぞかせる。


いや、本当にすごい偶然だ。
休日に生徒会メンバー全員と顔を合わせることになるなんて。



「二人は買い物?」

「今映画見てきたとこ。涼風さんは一人?」

「あ、いや…」




片岡くんと来たけど彼は今年上の女の人に捕まっています、

……なんて、自分で口に出すのは何となく悔しくて言葉に出せない。



「…一人では、ないけど」

「ん?」



日野くんが首をかしげる。


目、泳がせちゃった。
日野くんのゆらがない瞳がこわい。


私は今どう見られているだろう。
挙動不審とか思われてるかな。