「悲しいときは泣いた方が良いから、お前がちゃんと泣けてて、安心した」


「──それ、前にも言ってくれましたよね、『ちゃんと泣け』って」

「へえ、覚えてたんだ」


「はい。あの時は泣けなかったけど、本当は、そう言って貰ってすごく嬉しかったから」

「……そうか」


先生はまた私の頭をクシャクシャと撫でてくれた。



「さて。どうする? 先に進路の話にするか、楽しい楽しい通知表の話にするか。どっちが良い?」


「うわ、通知表の事をすっかり忘れてました……先にそっちで。嫌なことは先に済ませます」


「よし、じゃあ。──文系の科目は全体的に問題ない、よく頑張ってる。理数科目をもうちょっと頑張って欲しいんだけどなぁ」


ふう、と先生はため息をつく。