「分かった。ここじゃ他の先生方の邪魔になるから、準備室に行こうか」


と、先生は自然な流れで準備室へといざなう。



──策士め。



職員室を出て数学準備室へ向かう。


先生が私の通知表を持っているのが見えて、ちょっと憂鬱になった。


「せんせー、それ、通知表……」


私が小さな声で言うと、先生は首だけで振り返りながら悪い微笑みを顔にたたえていた。


「あ、やっぱり楽しみにしてた? 俺が今から素晴らしいお説教をしてあげるから、そっちもお楽しみに」

「うっ、やめて下さい、今日は私の話を聞いて欲しいです……」

「聞いてあげるよ、もちろん」


先生は準備室の扉の鍵を開けながら不敵な笑みを漏らした。


「はい、どうぞ、説教部屋へ」

「う、地獄部屋……。失礼します」

「はい、座って」