目の前にいたのは、紛れもなく、入院しているはずの私のおばあちゃんだった。

それは、私が、世界で一番大好きな人。

世界で一番信頼している人。

……私の、唯一の心の支え。

「どうしたんだい、こんなところで」

でもおばあちゃんはそんな私に、昔と変わらぬ優しい微笑みを私に見せてくれる。

「びっくりさせちゃったね、最近退院したんだよ。

「え、ほ、ほんと?」

「うん。だから今から芽穂ちゃんの家に行こうと思っていたんだけど、そうかそうか、学校だったねぇ」

おばあちゃんはそんな風に細い目をもっと細くして笑いながら、言葉を続けた。

「おはよう、芽穂ちゃん」

そして、私は気がついた。

私にもちゃんといるんだって。

「…っ」

『おはよう』って笑ってくれる、大切な人が。

そう気づいたら、私は無意識のうちにおばあちゃんを抱きしめていた。