そんなやつ、店側は欲しくもなんともない。

それに、私の代わりなんていくらでもいるんだ。

やばい、泣きそう。

でも泣いちゃだめだ。

私は、頭を深く下げたまま、強く目をつむって涙をこらえた。

「あっちゃー、よりによってこのお皿割っちゃったかー」

「っ…本当に、申し訳ありませんでした」

「ちょっとイタいけど、まぁ、良いよ」

「えっ」

予想外の言葉に、私は思わず首を上げた。

「芽穂ちゃんには、いつもお世話になってるしね」

「…!いえいえ、そんな!」

「芽穂ちゃんがここに来てくれるようになってから、芽穂ちゃん目当てのお客さんとかもいて、実際売り上げ伸びてるんだよ」

「えっ、そうなんですか」

驚いた。

私がそんなにこのお店の役に立てていたなんて。

「クビにされるって、思ってた?」

「…え…え…」