そんな姿を見てニコリと笑ったその顔が、凛とよく似ていた


「ここじゃなんだから…どうぞ中に入って」


コトッと麦茶が入ったグラスをテーブルに置いた凛のお母さん


「凛は…今、病院にいるの」



「「「……え?」」」


見事にハモった「え」に若干感心しつつ、お母さんの話しの続きを待った


「朝、いつも通りに家を出たのよ…彼氏と待ち合わせしてるんだって言って。でも、その途中、事故にあって……」


「事故!?それで、凛は大丈夫なんですか?」


「えぇ、意識はあるわ。今、検査が終わってね。丁度、着替えを取りに来た所だったの。急いでたから、こんな格好だけど許してね」

エプロンを外し椅子の背もたれに掛ける


今まで黙っていたテツはテーブルに身を乗り出した


「凛ちゃんの…ッ容態は……?」


びっくりした凛のお母さんは困った様に笑った


「打撲と左腕の骨折なの…。でも、命があったから良かったわ。余程、心配してくれてるのね。ありがとう、テツ君」


「……?!」


今度はテツがびっくりする番だった


「あなたが凛の彼氏なんでしょ?凛が彼氏の自慢してたから、見たらすぐ分かったわ。ふふっ」



固まったまま顔を真っ赤にしているテツを横に凛のお母さんがメモを渡してきた


「すぐには面会、出来ないだろうけど。病院名と部屋の番号を教えとくから…会いに行ってあげてね。あと、凛の携帯は壊れてしまったから連絡手段がないの…ごめんなさいね」


挨拶をして凛の家を出た