静かな縁側に二人の泣き声が響く。今まで当たり前に会えた距離が急に遠くなってしまうのだ。涙があふれて止まない。結菜は自分の弱い体を恨んでしまった。

「私、引っ越しなんてしたくない!こんな体のせいで、夏未ちゃんと離れたくない……!新しい場所で友達ができるか心配だもん。夏未ちゃんみたいに、発作を起こしても気にしない人がいてくれるかわかんないもん」

結菜がそう泣き続けると、ふわりと夏未に抱き締められる。そして優しく頭を撫でられた。いつもそうだ。不安な時、悲しい時、夏未はそばにいて結菜を支えてくれる。

「結菜ちゃんは優しいから、きっと大丈夫だよ。それにどれだけ離れても、二人で過ごしたこの時間は幻になんかならないよ。会えなくなるのは寂しいけど、発作でずっと苦しむ結菜ちゃんを見てきた。ちゃんとした病院で治療して元気になってほしい!」

それに、離れている時間が絆を深めるって言うじゃないと夏未は力強く笑う。その目にまだ涙はあったものの、結菜は「そうだね」と頷くことができた。