俺達三人が通うのは決して廃れては居ないが、そう華やいでも居ない駅近くの高校。


近くにはショッピングモールなんてものはないがその代わり商店街がある。


ゲーセンが無い代わりに小さな公園が幾つかある。そんな感じの町の一角だ。


因みに偏差値は中あたり。


その高校の最寄り駅から二駅ほど行った隣街に、俺達の通う高校のある街よりも田舎臭い、と言うよりは本当に何もない町がある。


コンビニのような店はあるが、名前を聞いた事も無いような名前で、7時ごろにはすぐに閉まってしまう。


その後は延々と続く人気のない道。


その道を暫く行くと、随分と前、確か俺達が生まれる数十年は前に閉鎖された病院が見えてくる。それがT病院。


市の税金が足りない所為で、デパートなどの新しい建築物にする事も、取り壊す事も出来ずに放置されている。


T病院の怪談は後を絶たず、俺達だけではなく他の物好きな人間も何度かその廃墟に足を運んで怪談の真実を確かめようとした経験があるようだ。


そこで、女の幽霊を見た、というものもあれば、血だらけの兵士を見た、とか、子どもを見た、とかいう話が付属品として付いてきた。


勿論、何も無かった、とか、つまらなかった、という話も少なからず耳に入ってきたが。



「なぁに、肝試し行くの?」



クラスメイトで、このクラスのムードメーカーの野々村真央(ノノムラマオ)が『肝試し』と言う言葉を聞きつけて、興味深げに俺たち三人の会話の輪の中に入ってきた。



「あぁ、お前も行く?」