ある日、練習が終わったあと美咲は「話がしたいの」と言って私を屋上に連れ出した。
私は、何だか胸がざわざわしていた。
「桜だから伝えるね」と美咲は胸の内を明かした。
「あのね、私、りくのことが好きなんだ」
そう言った美咲の言葉は、私の心に痛いほど突き刺さった。
聞きたくなかった‥‥‥
知りたくなかった‥‥‥
私がそんな気持ちになっていることに知らない美咲は、次にこう告げた。
「合唱コンクールが終わったら、りくに告白する。だから、桜も応援してくれる?」
「‥‥‥うん」
私は、そう返事するのでいっぱいだった。
その日の夜、ベッドに潜り込み泣きはらした。
『私もりくのことが好き』
何でも思ったことは口にするくせに、その言葉だけは言えなかった。