「じゃーーーん!完成〜☆」

あれから数日後、楽しそうに紙を広げて見せてくれた道下さんを私達は歓声を上げて迎えた。


「えー!すごーい!道下さん絵上手!」

「ほんと!可愛い!」


道下さんが見せてくれたのはみんなで行くプールのしおり。
そこには丁寧に似顔絵や細かな時間配分、そして帰りのスイーツ店巡りまで華やかに描かれていた。


「美月…。あんたこの最後のスイーツ店巡りって…そんな話し聞いてないわよ?」

「美月オリジナルで〜す!」


やれやれ、とため息をつく山内さんに「まぁまぁ」と百合は肩をたたいた。


「とりあえず参加者確認しよう!男子は10人ね!」

「えっと、女子は13人。結構大人数になったね。百合、大丈夫?」

「うん!この人数なら問題ないよ!」


私と山内さんは目を合わせて笑顔になった。

「えっとじゃあ、参加者23人分しおりコピーして、後は配るだけだね〜!」

「お!やっぱ麻生も来るんだ!」

「茉莉花ちゃんの水着姿が見たいんじゃないの〜?」

道下さんの言葉に私は苦笑いで返す。

「………」

男子の参加者に晴人の名前が無かった。

晴人…来ないんだ…。
理由…聞きたいけど、珍しく今日休みだし…。


「茉莉花ちゃんどうかした?」

「え!?いや、別に晴人のことは…っ」


百合の声にビックリして思わず晴人の名前を出してしまった…。


「…はると?」


「えっとー…。」

三人の視線が痛く、私はまごついていたが「まぁいいか」と1つ溜息をついた。


「ほら、晴…、天野君は来ないのかなー?って」

私の一言に三人は驚いた顔をした。


「え?茉莉花ちゃん天野君と知り合いなの?」

「知り合いっていうか、クラスメイトだから知ってるよ?」

「いつから?」

「いつって…転校して来た日からずっとだよ?」

百合と山内さんの質問に若干の違和感を感じる。
私、変な事言ってる?



「晴人君と会ったことあるの?」

道下さんの質問に私はとうとう首を傾げた。


「え?会ったも何も、いつも学校で会ってるじゃん!今日は休みみたいだけど…」

三人は眉間に皺を寄せて見つめ合っている。
なんだか変だ。胸騒ぎがする。




「茉莉花ちゃん。天野君は4月から学校に来てないよ?」





「………え?」