あの、彬親様。
欲を言えば、彩希はしょっぱいものも食べたいです。
お塩で一晩寝かせただけの簡単なお漬物とかでもいいので、何かしょっぱいものを下さい。
彩希は心の中だけで、そうおねだりした。
心の中だけにしたのは、それを口に出してしまえば、またもや今みたいに甘い菓子の二の舞になってしまうから。
今度はしょっぱいものが山盛り並べられると、これはこれで別の問題が……。
食生活から病にならないように、今から気をつけないと。
大切な双子の旦那様のためにも。
(拾われてからずっと思ってたけど……。
本当に、尽くすの好きよねぇ……)
尽くしても尽くしきれないくらいに深く愛してくれるのは嬉しいのだけど……。
たまに、その愛情表現がずれている時があるのが悩ましいところだ。
それに、本当は芳哉も彩希へ菓子を贈ろうと考えていたみたいだけど、彬親が次々と並べていく量を見て、どうやら自重してくれたらしい。
彩希の勝手な解釈だから、多分だけど。
でも、ありがとうございます、芳哉様。
二人分の贈り物が全部お菓子だと、きっと大変なことになってました。
主に私の体重が。