「えっ!?
彬親様、まだ追加のお菓子を持って来るつもりなんですか……!?」

「何だ、もういらないのか?
まだまだ、お前に食べさせたい菓子がいっぱいあるんだぞ?」

「えっと……その……。
そんな残念そうに言われても……」

 いつだって表情があまり変わらない彬親にしては珍しく、少しだけ悲しそうに眉尻を下げられてしまった。

 その際、甘えるように首も一緒に傾げられてしまった上に、おねだりするような瞳で見つめられて、彩希はなすすべなく言葉を詰まらせる。

 もうお願いだから、そんな顔をしないでほしい。

 その普段見せない貴重な甘え顔をされると、思わずひとつ返事であっさりと食べちゃうから。

 うぅ、どうしよう。
 また、体に無駄なお肉が増える。

 
「だって、彬親様。
もうすでに、私の前にはいっぱい並んでるんですよ……?」

 彩希の目の前には、季節の果物や干菓子、餅菓子などが手が届かないくらいに沢山並んでいる。

 これは全て、彬親一人からもらった量だ。

 並べられた全てが宮家御用達の最高級品だし、文句なしに美味しいんだけど。

 こんなに大量に並べられて、もくもくと甘い菓子ばかり食べ続けてると、若干口の中が甘ったるくて胸焼けが……。