「正妻様、おめでとうございます(・・・・・・・・・・)


 やけに、強い言葉だった。
 理由は、わかってる。

 彩希が、文の返しをしてないからだ。

 どうしようと、そればかりが頭を支配して、結局どうすることも出来なかった。
 芳哉や彬親に相談することも、もう文を寄越さないでほしいと拒否するのも。

 自分ひとりじゃ、何も出来なかった。

 こうして、彼が目の前にわざわざ現れたのも、きっと。

 いくら待っても彩希からの文が返ってこないから、焦れたのだろう。

「…………っ」

 彩希は、指先が白くなるくらいに握り込み、俯いた。

 両隣にいる二人は、何も答えない。

 助けて、と。
 思い切り抱きついて、泣き叫びたい。
 きっと二人なら、抱きしめて、沢山慰めてくれる。

 そうとわかっていても、黙っていたことがバレてしまった時何と言われるかわからないのが怖くて。
 彩希はただ、じっと俯いていた。