「どうして私は、お二人の間に挟まれて宮中の宴にいるのですか?
私、それを聞こうとしてたのですよ、お二人共」

 それがずっと知りたかったのに、横から邪魔をされ、流し流されて、聞く機会を失って。

 彩希は今ようやく、聞くことができた。

「いや、何でって……。
それはだな、俺達が宮中行事が心底嫌いなのは、お前も知ってるだろ?」

「は、はい」

 そういう文が届いても、その辺に脱げ捨てて見向きもされず、埃を被っている無惨な姿をたまに発見するから、それはよく知っている。

 彩希はその光景を思い返しながら、困ったような笑みを浮かべた。


「宮中行事で出される食事は毒味のために冷たいしさ。
食材は高級品でも、ただ煮るか蒸すかのどっちかで、正直めちゃくちゃ不味いしね」

「私、宮中料理ってあまりよく知らないのですが……。
そんなにもお嫌いですか?」

「そうなんだよねぇ……。
美味しいのは、お菓子だけさ。
まぁ、毒味がしやすいように単体調理されているのが宮中料理だし、仕方ないんだけど。
そしてとにかく、宮中に来たってすることないし、暇なんだもん」

「え?
いや、あの…………。
色々な方々や同じ宮家の方々にご挨拶なんかは……」

「んなことやるかよ、めんどくせぇ」

 いっそ清々しいくらいの一刀両断っぷりである。