――――バッ!!

掴まれていた腕を離す。 


そして、眠いのに連れてこられ、

あげくにこんな車に乗せられて少々キレ気味なあたし。


その怒りをぶつけるかのように、相手に向かって、



「あんた誰? なんで、こんな所に連れて来てんのよッ!! 早く降ろしてッ!!」

と叫んだ。





けど、その男は…軽く頭を下げるとあたしに挨拶した。




「――――失礼しました。 



  俺は皇帝高校の副会長、赤澤 永思(あかざわ えいし)と申します。」





は?   あたしの頭は混乱中――――。


皇帝…。 ってあたしの行ってる学校。


そこの赤澤…!!?  桜の言ってた事を思い出す。


―――ひらめいた途端、さっきまでの睡魔は何処か彼方へ飛んでいった。


!!!!!!!!!!





「赤澤ってあのッ?! ってか弟います?」

「居るよ? でも、アイツ出てないでしょ?サボり魔だし。」


いかにもあたしと赤澤弟が一緒のクラスだと、知っている様子。

「なんで…知ってるんですか?」


ちょっと、特別に思われているのか…? 

そんな馬鹿な考え方をしたあたしはどうしても気になったから、聞いてみた。



「生徒会は、
 皆の名前とクラスぐらいは大体頭に入れさせられるからね。」



あぁ。そうですか。 

少し期待していたあたしは、愕然とする。



まぁ、どーでもいいけど。



…やっぱり、こうして近くで見るとカッコ良い。

桜が言うのも、皆が騒ぐのもムリはない。


恋愛未経験のあたしでも、この人が学校№1だという事は…分かる気がする…。