「佐伯さんとはしばらく会ってないの?」

「うん。忙しいから。」

「そう。大変ね。」

「でも、良いこともあるの。
今度佐伯さんとドラマで共演できるから。」

「良かったじゃない。
もしかして、ヒロイン役?」

「ううん。まだそんな大役できないよ。」

「まあ、そうよね。」

「今回は佐伯さん、悪役なんだよ。」

「あら。そうなの?
彼にそういった役が似合うようには見えないけど?」

「まだまだ、甘いなぁ。
佐伯さんの演技力はすごいんだよ。
きっと主役より目立つと思う。」

「それは新鮮ね。」

「声優の役ときは、そうでもないんだよ。
むしろ悪役のときの方が人気なの。
すごく悪いって感じがするわけじゃなくて、キャラの思いがすごく伝わってくるっていうか...。」

「さすが、佐伯さんファンクラブのプレミアム会員なだけあるわね。」

「うん。
まだ現役会員だもん。」

「彼女になったからって、油断はしないのね。」

「もちろん。グッズだって買い揃えてるし。」

「彼に一度でもこの部屋を見せてあげたいものだわ。」

「引かれちゃうから絶対ダメ。」

「まつりにはファンクラブはないの?」

「グループのファンクラブならあるよ。
ほとんどがカナエ推しだけど。」

「なんてね。知ってるわよ。
母さんも父さんも入ってるわ。」

「え、うそ??
やだ、恥ずかしいな。」

「いいじゃない。応援してるんだから。」

「それは嬉しいけど。」

「佐伯さんにも入ってもらったら?」

「それはさすがに...。申し訳ないし。」

「いいじゃない。入るだけ入ってもらえば。」

「いいよそんな。恥ずかしい。」

もう...。

最近自分の恋愛はうまくいってるからって調子に乗ってるんだから。