「じゃあ何なんだよ」

「だから、言わないし訊かなくていいって言ったでしょ」


変に事情を説明しようとすれば、また三永ちゃんの時のようにいらぬ誤解を与える恐れがある。
そもそもに、ウサギの可愛さに癒されたのは事実だが、それでそこまで上機嫌になった覚えはない。
それとも、周りからはそんな風に見えているのだろうか。

まあ思い出したら顔がついニヤけてしまう程度には、ウサギの可愛さに魅了されてはいるけれど。
あと、やたらとウサギグッズに目がいくようにもなった。


「そう言われても、久しぶりに顔出したかと思ったら妙にご機嫌だと、その理由が気になるのは当然のことだろ?」

「だろ?って言われてもね」

「で、どんな良いことがあったんだ?……あっ、まさかお前…………」


何だろう、物凄く嫌な予感がする。


「……男か」

「違うわ!!」


構えていたせいもあってか、返す声に自然と力が入った。