「同性間ならそうですけど、異性間なら友情がやがて恋に発展することもあると思いますよ。漫画なら、むしろありがちなパターンであると言えます」

「漫画はあくまで創作だから」


現実に漫画のようなことが起こったり、それを超えてくるようなことだって稀に起こったりもするけれど、そう例えば、私とあの魔法使いとの出会いとか、でもあくまで漫画はフィクションだ。
漫画の定石が、必ずしも現実に当てはまるわけではない。


「それじゃあ叶井さんは、大路さんのことを正真正銘、ただのお友達としか思ってないんですね?昔も今も、変わらず」

「そうだね、ただのお友達だよ。いいお友達」


何の躊躇いもなく大路くんを友達だと言えることが嬉しくて、自然と頬が緩む。
チラッと視線を向けた先、カウンターを出た大路くんは、テーブル席の二人組のお客さんと何やら楽しそうに話し込んでいるのが見えた。

バシバシと肩を叩いているのを見るに、どうやら顔見知りらしい。それも、かなり気心の知れた仲と見た。


「……いいお友達、ですか。それ、大路さんに直接言ったことあります?」


三永ちゃんからの問いかけに、大路くんに向けていた視線を隣へと戻す。