納得いかなそうな三永ちゃんに、「そう、友達」ともう一度繰り返したところで、ずいっと身を寄せ


「だから絶対に、会社ではそういうこと言わないんでね。あそこには未だに大路くんの根強いファンが居るんだから。冗談じゃないからね、これはほんとのやつだから。ほんとにお願いね」


声に力を込めて、念を押すように言うと、三永ちゃんは若干慄いたように身を引いた。


「……あっ、はい。えっと……すみませんでした。口が裂けても言いません」


有難いことに、私の本気度がしっかりと伝わったらしい。
少し伝わり過ぎたような気もしないでもないが、まあ伝わらないよりはいいだろう。


「……でもあの、ほんとに付き合ってないんですか?過去にそうだったとかも全然?」

「全然だよ。昔からずっと、大路くんとはいいお友達」


三永ちゃんは、しばらく難しい顔で首を傾げてから


「じゃあ、叶井さんは今まで一度も、大路さんのことをそういう目で見たことはないんですか?」


とても不思議そうな顔で問いかける。


「ないよ、そんなの。三永ちゃんだって、友達をそういう目で見ることはないでしょ?だって友達なんだから」


即答する私に、三永ちゃんはまだ不思議そうな顔をしている。