「叶井さんって、大路さんとお付き合いされてるんですよね?」

「ぶふっ」


危うく、口に含んだばかりの梅酒を吹き出すところだった。
慌てて飲み込んだせいでむせながら、涙目で三永ちゃんの方を窺う。


「……いや、お付き合いされてないよ。……そもそも、何がどうしてそんな結論に至ったの?」

「だってお二人、ただの“元同僚”にしては仲が良過ぎじゃないですか」


そうだろうか。いやまあ確かに、一緒に働いていた頃から何度かそういった誤解を受けたことはあったけれど、なにも大路くんは私とばかり仲が良いわけではないし、私が特別仲が良いというわけでもない。
なにせ大路くんは、誰とでもすぐに仲良くなれる男だ。

現に今だって、顔を合わせた回数は私が知る限りこれで三回目なのに、既に昔からの仲良しのように三永ちゃんと打ち解けている。


「まあ、友達だしね。ただの“元同僚”よりは、仲が良くも見えるとは思うよ」

「……友達、ですか」