未だ一杯目の梅酒をチビチビ飲みながら、大路くんと三永ちゃんを交互に見る。
二人は私の視線を受けて顔を見合わせると、これ見よがしにため息をついた。


「まあでも、叶井さんのそういう鈍感なところが、可愛らしくてわたしは好きですけどね。大路さん、おかわりください!」


後輩に可愛らしいと称されたことをどう捉えるべきか、バカにした風ではなかったことがまた反応に困る。


「……三永ちゃん、まだ飲むの?そろそろ水にしといた方がいいんじゃないか」

「ええー、嫌ですよ。せっかくノッてきたところなのに」

「……“酔ってきた”の間違いじゃなくて?」

「だから言ったでしょ。ザルだって」


困惑しきりの大路くんに構わず、三永ちゃんはしきりにおかわりを連呼する。

テンションとしては酔っているようにも感じられるが、これでも三永ちゃんは全く酔っていない。
顔が赤くないのもそうだが、目がちゃんとしているのだ。酔った人特有の、とろんとした感じが一切ない。

大路くんも、お酒を提供する商売をしているからわかるのか、一応止めはするけれど、結局諦めたように新しいお酒を用意してあげている。