「わたし、年上だろうと年下だろうと同い年だろうと特に拘りはないですけど、出来れば年の差は一回りまでで抑えたいんです。それ以上になると、ちょっと考えさせて欲しいですね。あと、出来ることならバツが付いてない人がいいです」

「なるほど。じゃあ確かに、部長は対象外だな」


そう言って大路くんは苦笑すると、本当に水じゃなくていいのか、そろそろ水にした方がいいんじゃないのか、お茶もあるぞとしきりに三永ちゃんに勧めていたが、結局断られてまた諦めたように新しいお酒を提供する。


「そういやあ主任、おめでたなんだろ?結婚するってだけでも驚きなのに、そのうえ母親になるなんてな……。あの人が子供抱いてるところって、全く想像がつかん」


それは全く同意見だ。三永ちゃんも同じらしく、「わかります」と頷いている。


「ちなみに、仕事はどうするって言ってるんだ?」


その問いには、くいっとグラスを傾けた三永ちゃんの代わりに、私が答えた。


「ギリギリまでやるんだって。ご迷惑をおかけするかとは思いますがって、あの主任が頭下げてた……。流石に産んでからはしばらく休むみたいだけど」


主任が頭を下げた瞬間、その場がざわついたことは言うまでもない。明日は槍が降るんじゃないか……なんて囁いた人までいた。


「そうなると、主任が抜けた穴は誰が埋めるんだ?もう決まってるのか?」


この問いには、今度は三永ちゃんが答えた。
というより、私が答えたくなくて黙り込んだら、代わりに三永ちゃんが口を開いたのだ。