「この子は、迂闊で緊張感のないところがある。それはとても危ういことだ。普通の人間だったならまだしも、この子は魔法使いだからね。だから、母や父が暮らしていた国に一人で戻ると言われた時、私はそれがとても心配だった。でも、あなたのような人がそばにいてくれるなら安心だ。この子の存在を受け入れてくれる人がそばにいるだなんて、こんなに喜ばしいことはない」


そう言って、お祖父さんは灰色の瞳を細めて幸せそうに笑った。

その後、お祖父さんからたっぷりのパンを受け取って、二人では食べきれないのではないかと思うほど受け取って、お礼と挨拶を終えたところで鏡は元に戻る。
最後にお祖父さんは、「カナイさんが家族になる日が待ち遠しい」と言って笑っていた。


「……さっきの、どういう意味?」

「さあ……?」


二人して首を傾げながらキッチンに戻り、私は再びコンロに火を点けながら、チラッと隣を窺う。
焦げないようにサポートしてくれるとの言葉通り、男は真剣な顔でコンロの火を見つめていた。