私は魔法使いではないのでもちろん存じ上げないため、申し訳ないがその凄さはちっともわからない。


「あまりに力が強大で、若かりし頃は危険人物としてマークされていたそうで、まるで護衛のように四六時中監視の人が張り付いていたと聞いています。祖父曰く、その人達を振り切って悪さをするのが、当時は最高の遊びだったとか」


それは、凄い人ではなくヤバい人なのではないだろうか。


「でも今は、若い世代を育てる活動に力を入れているので、たくさんの人に慕われて頼りにされていますよ。ちなみに今でも力は強大ですけど、祖母に出会ってから悪さをするのはやめたそうです」


何だその三永ちゃんが好きそうな展開は。もしもここに彼女が居たら、目を輝かせて食いついていたに違いない。


「“三永ちゃん”って、誰のことですか?お友達ですか?」

「まあ、一応関係としては職場の後輩かな」

「なるほど。叶井さんがお友達と思っていても、向こうがそう思っていなかったら悲しいですもんね。女性同士はその辺りの線引きが複雑そうですし」

「…………」


この男は、ちょいちょい言うことが余計だ。