何事かと思ったら、テーブル席に座っていたお客さんがお会計をしに来たようだった。
あの状態でちゃんとお会計が出来るのかと不安に思って見つめていたが、お客さんを前にしたら我に返ったようで、大路くんはしゃんとした顔でレジを打ち、お会計を間違いなく済ませて戻ってきた。
そして戻るなり神妙な顔で私の方を向いて
「……叶井、正直に言ってくれ。この人はお前の、その……あれなのか?」
あれってどれだ。
「恋人なのか、と訊きたいみたいですよ」
おそらく、大路くんと私と両方の心の内を感じ取ったらしい男が、私に向かって囁く。
「断じて違うから」
答える時、思わず隣の男の方を向いてしまったが、こちらではなかったと思い直して、大路くんの方を向く。
「ほんとに、全然そういうのじゃないから」
改めてそう言うと、どこか強張っていた大路くんの顔から、フッと力が抜けた。ついでに肩からも。
あの状態でちゃんとお会計が出来るのかと不安に思って見つめていたが、お客さんを前にしたら我に返ったようで、大路くんはしゃんとした顔でレジを打ち、お会計を間違いなく済ませて戻ってきた。
そして戻るなり神妙な顔で私の方を向いて
「……叶井、正直に言ってくれ。この人はお前の、その……あれなのか?」
あれってどれだ。
「恋人なのか、と訊きたいみたいですよ」
おそらく、大路くんと私と両方の心の内を感じ取ったらしい男が、私に向かって囁く。
「断じて違うから」
答える時、思わず隣の男の方を向いてしまったが、こちらではなかったと思い直して、大路くんの方を向く。
「ほんとに、全然そういうのじゃないから」
改めてそう言うと、どこか強張っていた大路くんの顔から、フッと力が抜けた。ついでに肩からも。