「藍。やっと会えたわね。」

中3の夏、私はとても不思議な夢を見た。
そこは、辺り一面真っ白で、私と彼女以外には何も存在していない。そんな不思議な場所だった。

「貴方は…？」

私の目の前には、顔の整った老婆がいる。初めて見る顔だ。しかし、何処かで見たこともあるような気もする。

「私は貴方の曾祖母(そうそぼ)よ。」
「曾祖母…。」

そうか。彼女が私の曾祖母なら、見覚えがあるのにも納得だ。きっと、写真で見たことがあるのだと思う。

「私には特別な力があってね。何か分かるかい？」

私は首を振る。
曾祖母は、優しくにこりと笑った。

「その特別な力は、娘にも孫にも遺伝しなかった。自分と同じ力を持つ人と話してみたかったから、残念だったよ。きっと、世界中を探せば、私と同じような力を持った人は沢山いると思うのだけれどね。何て言ったって、昔はSNSのようなものは無く、そう簡単に仲間を見つけられなかったのだよ。」

このような不思議な夢の世界で、不思議なおばあさんから、『SNS』という割と現代的な言葉が出てきたのことが可笑しくて、私は少しだけ微笑んだ。

「でも、驚いたよ。まさか曾孫に遺伝するなんてねぇ。もう少し長生きすれば良かったわ。」

ここまで聞いて、彼女の『特別な力』というものに心当たりを感じた。