今は
やり場のない気持ちが溢れ出るのをただ必死に押さえ込む。
夜景をひたすら眺めては
ちっぽけな自分の馬鹿な決意を守らなくてはと必死に思い込むしかなかった。
「………咲季?」
ふと聞こえた声に身体が反応する。
握られていた手を引っ込めて何もなかったように営業スマイルを顔に貼り付けた。
「ありがとう。
私がやる気出ないなんて言ったから此処へ連れてきてくれたんだよね。
心配かけてごめんね。
おかげで少しやる気出たよ」
明るい声で言ったら、相沢くんがほっとしたような表情を見せた。
「なら良かった」
言葉少なに呟いた相沢くんを見て
当面の目標が見えた。
ーーもう相沢くんに心配をかけないーー
それだけを目標に頑張ろうと心に決めた。