「…………」



告訴しなかった理由。



それだけはどうしても言えない。



俯いて無言でいると、相沢くんがジュースを一口飲んでから口を開いた。



「まあ、おかげで俺は咲季と出逢えたけど。告訴してたら前のバイト続けてただろうし、前のバイト辞めてうちに来てくれて店長も喜んでるからな」



まるで告訴しなくて正解だと言ってくれてるように聞こえた。



確かに、金田と会わないようにと前のバイトを辞めたから相沢くんに会えた。



でも、会わなかったら好きになる事もなかったはずだ。



……告訴した方が良かったかもしれない。

今、初めてそう思った。





「とにかく、辞めてからは接点がなかったのに見つかったのはヤバいな。今が夏休みで良かったよ」



上杉くんの言葉に頷く。



「ってことで咲季ちゃん。連絡先教えてくれる?今後、咲季ちゃんが卒業するまで俺らがガードしてあげるから」



「えっ?」