また金田の声が聞こえて、無意識に相沢くんのシャツを握りしめる。



「マジであいつ すげぇ執着だな」


上杉くんの呆れる声が聞こえた。



「……咲季ちゃん、すげぇ震えてんじゃん。
大丈夫だよ、あいつは他の車両に行ったよ」



上杉くんの声が近くで聞こえて頭を撫でられた。



「上杉くん、ごめん、迷惑」
「も〜、大丈夫だから。迷惑なのはアイツなんだから咲季ちゃんは謝らないで」



髪がぐしゃぐしゃになるくらい頭を撫で回す上杉くん。



「ってか、頑張ったお礼に、ちょっとだけ晃司の代わりに俺に抱きついてくれる?」



そんな声がした方をチラリと覗き見ると上杉くんの姿が見えた。


相沢くんの手は拘束を緩めていたから抜けるのは簡単だった。