「咲季ちゃん、このバカは友達……な訳無いか〜」
上杉くんがいつもの調子で声をかけてきた。
その声で我に返る。
「あ……」
上杉くんに話しかけようとして自分が不自然な体制になってる事に気がついた。
「ごめん、大丈夫?」
すぐ真上から聞こえた声が、頭の中に響く金田の声を一掃した。
相沢くん。
私は相沢くんに後ろから抱きしめられていた。
金田に捕まる瞬間に相沢くんに後ろに引っ張られていたようだ。
そう気付いた瞬間、感情が昂ぶった。
相沢くんが助けてくれた。
それだけで泣きそうになる。
「は?何お前ら?その制服は隣の進学校だよな?」
「そういうあんたの制服は隣のヤンキー校だよな?」
私と金田の間に上杉くんが立ち塞がる。
金田の姿が上杉くんの背中で見えなくなるとやっと状況を理解出来た。
ど、ど、どうしよう、私のせいで金田と上杉くんがっ!