店を出て駐輪場の端に停めてある相沢くんのバイクの所まで歩いてから口を開いた。
「あ、あの、私自転車で来てるから」
遠回しに断わるつもりで言ったが……。
「帰ってきたらまたここに来るから大丈夫だよ」
にっこりと肯定された。
「じゃなくて、なんで私も一緒じゃないとダメなの?相沢くんと上杉くんで遊ぶ予定だったんでしょ?」
「いや、元々遊ぶ予定じゃなかったよ。あいつと待ち合わせしてたわけじゃなかったから」
………?
上杉くんと待ち合わせしてたんじゃなかったの?
ふとそこが気になったけど、今はそれよりも何故遊ぶ事になったのかが気になった。
「だって、相沢くんも予定あったんじゃなかったの?」
必死に食い下がる私を余所に相沢くんはバイクを動かしてから、さっと長い脚を上げてバイクに跨がった。
「俺は何も予定なかったから。咲季と一緒にバイク乗れるなんてラッキーだな」
バイクのミラーにかけてあったもう一つのヘルメットを手に満面の笑みで言われた。
ラッキー!?なんで!?