「あれ?咲季ちゃんって3年生なの?」
表紙の3学年という文字を見た上杉くんがまた驚いた顔をする。
あまり絡んでほしくないけど教科書を返してもらわないと勉強出来ない。
「そうだよ。3年で受験生。だから返してくれる?」
返事をしながら手を出して"返して"アピールをするけど上杉くんはまだ教科書を返してくれない。
「俺らより一つ年上だったんだ?
でもなぁ………やっぱり咲季ちゃんって感じだから咲季ちゃんって呼ぶね」
にっこりと初対面の彼が微笑む。
………本当に馴れ馴れしいな。
でも二人とも見ため的には背も高そうだし格好いいから私服の今は大学生と言っても通じそう。
なので拒否って変に年上アピールするつもりもないので諦めてため息を一つついた。
「………好きに呼んでいいよ」
どうせ卒業までの数カ月しか関わることはないだろう。
そう思って了承しただけなのに………。
「じゃあ俺も咲季って呼んでいい?」
隣の相沢くんにいきなり声をかけられた。