「………デートならもう少し気を使った服になるんだけど」



思わず呟く。



とは言ってもデートしたことないから自分でもデート用の服とか持ってない。



……バイト三昧で化粧すら全くしないから女子力は皆無だとしても、もう少しマシな服のがよかったかな?

なんて思いつつも、今更相沢くんの前で可愛い子ぶるつもりも無い。



「今の服でも十分可愛いのに気を使ったらどれだけ可愛いくなるのか見てみたいな」



にこやかに微笑えむ相沢くんを見て今度は呆気に取られた。



あの相沢くんが、私に気を使ってる!?

こんな格好してきたばかりに気を使わせてしまって申し訳なくなった。



「……相沢くんに言われると少し凹むかも」


「え?俺、そんな変なこと言った!?」


「言ってないよ。相沢くんみたいな格好いい人にお世辞言われてもピンとこないだけ」


私の言葉で慌てる相沢くんに申し訳なくて苦笑いを向ける。



「お世辞なんか言ってないよ」



急に真面目な顔ではっきりと宣言されると余計に申し訳なくなってくる。



そんなに私に気を使わなくていいのにな……。