相沢くんっ!



私から離れようとする彼の背中に慌てて縋りついた。



「ご、ごめんなさい!お願い……
行かないで……怒らないで……」



私がそう声をかけると相沢くんがピタリと動きを止めた。




少しの沈黙の後、お互い横になったままで相沢くんは背を向けたままこっちを見ずに手を伸ばして布団を掛け直してくれた。


そして相沢くんが重い口を開いた。



「………咲季、将也の兄貴にナンパされた時のこと……覚えてる?」



背中越しに突然問いかけられた。



「うん」



相沢くんが彼氏のフリして助けてくれた。

これがキッカケで相沢くんと仕事以外の話をするようになったから忘れるわけない。



「あの時、俺が助けたのは偶然じゃないんだ」



…………偶然じゃない?どういうこと?



「………いつかは将也の兄貴みたいに咲季に手を出そうとする奴が現れると思ってたんだ」



…………???

話の意図が見えなくて何も言えない。