そのまま私の肩に軽く顔を埋めるようにして鏡から顔を隠した。



「………ネックレス、着けてくれたのは嬉しいけどちゃんと髪を乾かしてからにして」



耳元で言われた言葉を理解して少し恥ずかしくなった。



「あ………ごめん」



軽く乾かして梳かしたとはいえ髪が濡れたままなのは一目瞭然だった。

艶肌に浮かれた自分が情なくて思わず謝る声が小さくなる。




すると、肩から顔を上げた相沢くんがため息を一つつくと鏡の中の私と視線を合わせた。



「………風邪ひかせたくないから。
このまま俺が風呂を出るまでここに居てちゃんと髪を乾かしてて」



そう言って洗面台に備え付いてるドライヤーを手に取り私に渡す。



「うん」



素直にドライヤーを受け取ってすぐさまスイッチを入れて髪を乾かしてはじめた。



すると相沢くんはそのまま後ろにある脱衣所への引き戸を開けてお風呂に向かった。



「………覗くなら声かけてよ」


「覗かないよっ!」



戸を閉める前に言われた冗談に、少し強い口調で言い返すと脱衣所から笑い声が聞こえた。