「………ここって安くないよね?
私も半分出したいけど今の所持金じゃ多分足りない……」
明日、ここを出たらコンビニでお金を下そうと考えていたら相沢くんの間の抜けた声が聞こえた。
「………は?」
「明日コンビニでお金を下ろすからそれま…」
「いや、料金の話じゃなくて……
咲季は俺とここに泊まっても平気なの?」
「あー……多分平気。家に帰らなくてもどうせ気付かれないし」
「そうじゃなくて……」
「………?」
どうしたのかと首を傾げると相沢くんがため息を一つ吐いてから私の方に近付いてきた。
そして、私の横に立つと私へと手を伸ばしてきた。
その手に気付いた私は無意識に後退って相沢くんの手を避けた。
「あ、あの…」
焦った私は拒否ったと思われたくなくて声をかけようとした。
「……良かった。意識されて無いのかと思った」