「……お願いします」
記入し終えた相沢くんが紙とペンをオーナーに渡す。
「はい。確かに。
いや、本当に、今日最後のお客様が美男美女でびっくりだな」
「そうよね。
これで雪が降っていて彼女さんの頭に雪が積もっていたら天使が舞い降りたと思ったかもしれないわ」
…………。
オーナー夫妻?らしき2人にべた褒めされ、にこにこと温かい笑顔を向けられると流石に恥ずかしくなってきた。
とはいえ、そんな夢見事をサラッと言える夫妻がいるもんだなと感心してしまった。
あまりの状況に相沢くんをチラ見すると、相沢くんと目が合った。
そして満面の笑みを浮かべる。
………なんで相沢くんまでオーナーさん達と同じ顔してるのっ!?
どうにもいたたまれなくなり、手にしていたティーカップを何度も口につけてすぐに飲みほしてしまった。
「では部屋に案内しますね」
私がテーブルにカップを戻したのを見計らったようにオーナーが立ち上がった。