重い扉を開けて外に出ると、いつものように相沢くんがバイクの横に立ってスマホをいじっていた。
バタンと重い扉が閉まる音を聞いて相沢くんがスマホから顔を上げてこちらを見た。
「お疲れ様」
いつもと変わらず微笑んで声をかけてくれる。
なのに………。
私の気持ちはいつもと違った。
これから相沢くんとお出掛け。
それが嬉しいはずなのに、自分の卑しい妄想のせいで素直に喜べないでその場を動けないでいた。
扉の前に立ったままの俯く私。
こんな所で立ってたら邪魔になるじゃん!
相沢くんがすぐそこで待ってるのにっ!
自分で自分に叱咤して動こうと試みるが足が動かせない。