道中で高速に乗ると言われて緊張したけど相沢くんは安全運転で走り続けてくれた。



そうして着いた先は海だった。



辺りでは海水浴客が歩いているのを横目に海に面した水族館の駐輪場にバイクを停めた。



「着いたよ。……咲季は海で泳ぎたかった?」


遠慮がちに聞かれてすぐ首を横に振る。



「………初めて海に来たから見てるだけで十分だよ。水族館も小学校の遠足以来だから嬉しい」



「………そっか。良かった」



まだ水族館の開園まで時間があるので、砂浜の方へと手を繋いで歩き出す。



ただそれだけの事が凄く嬉しかった。



初めて歩く砂浜に足を取られてよろけても寄り添う相沢くんが支えてくれる。



打ち寄せる波に誘われて、七歩丈のパンツを手で少し持ち上げながらサンダルのまま足を海につける。



初めての波の引く感触を感じながら目前の広い海を眺めると海に惹き込まれそうな感覚になった。



「………咲季」



海水浴場と違って遊泳禁止の水族館の周りの海にはほとんど人がいないけど、不意に相沢くんに後ろから抱きしめられて恥ずかしくなる。