けど、自転車置き場は駐車場の一角なのを忘れていた。
やっぱり鍵掛けてなかった。
盗まれなくて良かったとホッと一息ついた時だった。
「あっ!!!あの子っ!!!」
驚いた声が聞こえて、こっちが驚いた。
何事かと振り返れば、そこには今朝の彼女がいた。
………ヤバい。
さっきまでのどす黒い嫌な感情が波打つ気がした。
「お母さん!あの子!今朝助けてくれた先輩!」
足に包帯を巻いた彼女が動きづらそうに私の方に歩いてくる。
こっちに来ないで!
私なんて放っておいて!
そんな身勝手な理由で彼女を足止める。
「無理しないでねっ!お大事に!」
そう声を張り上げて、彼女のお母さんの方に一礼してから店の裏口に飛び込んだ。