「俺は、咲良が好きだ!」

「はぁ? 何言ってんだ? 気持ち悪い奴が好きって正気かよ」


 ……!
 拓海くん、も私を気持ち悪いって言うかもしれない。私は涙がまた出てきてしまった。


「俺は、どんな咲良でも好きなんだ。受け入れる。記憶が鮮明に残るって素敵じゃん!」

「え?」

「記憶に残るから、勉強も得意なんだね。俺は羨ましい。なかなか覚えられないから」


 そういえば拓海くんは、そういう人だ。
 真っ直ぐすぎる、優しい人。


「記憶に残るのが嫌なら、記憶がいっぱいになるくらい思い出を作ろうよ! それに写真もたくさん撮ろう!」

「拓海くん……」

「俺は、その能力持つ咲良全てが愛おしい。大好きで愛してるんだ。だからもう別れたいなんて言うな!」


そんなふうに言ってくれたのは拓海くんが初めてで嬉しくてたまらなかった。


「好きです、俺ともう一度恋の続きをしてください」

「……うんっ」


 私は頷くと、「拓海くん」と初めて呼んだ。そして私も彼に伝えた。


「私も、拓海くんが好き」

「え!? うそ! 本当に!?」

「うん。大好き」


 拓海くんは付き合う前、告白をOKした時のようにガッツポーズをして無邪気に喜んでいた。
 
 そして、元彼は「はぁ!? 意味わかんねー!」と叫びどこかへ行ってしまった……なんか疲れたなぁ。

 私は初めて彼に抱きついてこう言った。


「ずっとそばにいてね」

「あぁ、ずっといる」


 今までそんな言葉を口に出すことなかったから、恥ずかしくて照れてしまったけど。その日、2人で撮ったツーショット写真は記念すべき一枚目になった。