佐伯くんと付き合って3か月が経った。
「咲良、お弁当あっちで食べよう」
「うんっ」
広場に行くと2人でベンチに並んで座り、お弁当を広げた。
「うまっ! 咲良の卵焼きと唐揚げ、めちゃくちゃ美味しい〜」
「本当? 良かった」
最近は佐伯くんのお弁当分も作っていてお昼は一緒に食べるのが日課になっていた。
「咲良、そろそろ俺のこと拓海って呼んでよ」
これは以前も提案されたけど、恥ずかしいからと断ってしまって流れたんだった……。
「えっと……」
私は名前を呼ぶのが怖い。名前で呼び合うようになったら、前の人たちみたいに気持ち悪いと言われた時、耐えれるか分からない。
拓海くんには嫌われるのは嫌だ。こんな感情初めてだ。いつも、諦めていたのに……どうしてかなぁ。
「咲良、なんか悩みあるんじゃないの?」
「……え?」
「何かあるなら、言ってよ」
悩みは……あなたに嫌われるのが怖いことだよ─︎─︎そう言えたらきっと楽なんだろうな。
だけどそれを言ったら、絶対に嫌われる。それに……。私は前に見た元彼のSNSアカウントの投稿されていたことを思い出した。
【彼女と別れてスッキリ! アイツなんでも覚えてて気持ち悪かったし、本当せいぜいした!】
その投稿には【え? 同じ大学の子?】【え、キモ!】などのコメントが流れていた。
嫌われ、たくない。
好きな人からそんな言葉聞きたくない、その前にわかれよう……。
「佐伯くん……別れてくださいっ」
「……!? 咲良、どうして? そんな、急に」
「ごめんなさい、私……っ」
私は、唖然としている彼を置いてカバンを持って逃げた。本当は、別れたくないのに……傷つくのが嫌で一方的にあんなことを言ってしまった。
じぶんから言ったのに涙が溢れて止まらない。通行人がこちらを見るけど涙は止まることはなくて……目が赤くなるまで私は泣いてしまった。
「お、久しぶりだな咲良」
いきなり現れた男に私は固まって動けなくなってしまった。