喜び勇んで部屋に戻り、早速、旅行会社に連絡した香耶だったが、結果は残念ながら……思った通りのものではなかった。

『申し訳ありませんが、今からではちょっと……』
「料金なら、お支払いしますので」
『オプションを追加いただく際には、そのようにお願いすることになると思いますが……その、今からガイドに連絡を取って、今日、というのは難しいかと……』
「……あー……」
『通常は、出発前にご予約いただき、お客様に合うような現地ガイドを選定して予定を組んでおりますので……』
「……ですよね……」

あからさまに気落ちした香耶の声にどうじょうしたのか、旅行会社のお兄さんは、親切に妥協案を提示してくれた。

『もしよろしければ……ですが。今からガイドの方に連絡を取ってみますので、お客様の滞在中にご都合の合う日があれば、ということではいかがでしょうか?』

とてもマトモで、現実的な提案だ。

いきなり朝一番に電話して、迷惑な無理難題を要求した自分の行動に今更ながらに気づいて、香耶はひとり、赤面しながら、かしこまって答える。

「そう、ですね……いきなりですみません……よろしくお願いいたします……」