あの目立つ色をしたTシャツが見えないかと、あたりを見回した香耶は、道の突き当りに果物の積まれた台を見つけて、あ、と声をもらした。

ブルーベリーにラズベリー、つるっとした小さめのメロンのようなものが店先につまれた場所は、近づいてみれば、スーパーのようだ。

甘いお菓子も好きだけど、何よりフルーツ好きの香耶は、思わず目を奪われて歩み寄る。

見るからに新鮮なベリーが入っている透明なプラスチックのパックは、サイズといい、形といい、日本のものとほとんど変わらない。

けれど、肝心の中身は色も形も良く、見るからに新鮮そうで、しかも、なかなかの大粒だ。

ここに来るまでに開いている飲食店はなかったし、外国のスーパーで買い物をするというのも旅ならではの楽しみかもしれない。

香耶は2つのベリーを見比べ、ちょっと迷ってから、なじみのあるブルーベリーのパックを手にすると、入口に積まれた買い物用のカゴに入れてスーパーの中に入っていった。