香耶が飛行機に乗った経験は、ほんの1,2回。
どれも短い旅行で格安のチケットだったから、エコノミー以外の席に座ったことはなかった。
そういえば、今座っている座席も、全く窮屈な感じがしない、ゆったりした大きさだ。
昨日は全く気付かなかったけれど、それほど小さくはない香耶が、ブランケットにくるまり、ぐっすり眠れるくらいの広さがある。
もしかしたら、座席のサイズも少し違うのかもしれないな。
何センチくらいなのだろう、と、お尻の下に手をやり、サイズを確かめようとしていると、頭の上から何か、知らない英語が降って来た。
顔を上げると、もう見慣れてしまった金髪のCAさんが、金属製のワゴンを押して、こちらを見ていた。
なんだか、このCAさんには恥ずかしいところばかり見られているな……
赤面しながら、なんとなくごまかすような愛想笑いを浮かべた香耶が元通りの姿勢に戻ると、細長いガラスのグラスに半分ほど注がれたオレンジジュースを渡される。
受け取って、そっとテーブルに乗せると、今度は白いソーサーに乗った紅茶のカップ。
以外と重いそれを落とさないように慎重にテーブルへ運んでいると、また、苦手な英語がとんできた。