メニューの中にあるものは全部食べれるものだから、何が来ても問題ない。

シリアルとビスケットは……ちょっと今は……まあ、でも、食べられないことはない。
口の中の水分が奪われそうで、嫌だけど。

やっと山を超えた……と疲れ切った香耶が適当に相槌を売っていると、CAはさらに問いかけるようなニュアンスで言葉をかけてきた。

「Would you like some coffee after breakfast?(食後にコーヒーはいかがですか?)」
「え?」

わからなくて問い返したのがわかったのか、CAは笑顔のまま、今度はごく短く、簡単な言葉を発してくれる。

「coffee or Tea?(コーヒーか紅茶は?)」
「あー、イエス、ティー」

わかる単語があってよかった……

今度こそ、緊張の時間の終わりを感じて、ほっと胸をなでおろした香耶は、自然と口元にわずかな笑みを浮かべて頷いた。

考えてみれば、最後に何か食べてから、もうずいぶん経っているのに気づいて、香耶はブランケットの下から腕を引き出し、手首につけていたシルバーの時計で時間を確認する。

「……5時前、か……」

あまり見たことのない時計の針の位置に、香耶は苦笑して、ブランケットを整えた。