喉が渇いているせいか、水っぽいものばかり選んでしまったけれど。
つぶやいた言葉は、今のところ、ちゃんとCAさんにも伝わっているようだ。
ほっと息をつき、残りのメニューを見た香耶は目を見開き、固まってしまう。
朝食、と書いてあるメニューの下の方から選んで行ったものの、その上に並んでいるのは、目玉焼き、マフィン、ブラックベリーペストリー、ビスケット、シリアル……
ビスケットは伝わるような気もするけれど、ちょっと今は気分じゃないし……ボソボソしたのはあんまり食べたくない。
そもそも、あれはお菓子であって、ごはんじゃあないでしょ。
「…………えっと」
でも、目玉焼きって……なんて言うの?
「エッグ……あーいや……」
それに、ペストリーってなに?
「パン……ブレッド、エッグ……」
あ、パンはメニューになかった!
でも、なんで?
パンとか、トーストって、朝食の定番じゃないの?
そもそも、さっきの“水”でさえ伝わらなかったのに、これが伝わる?
追い込まれた香耶は、最後の手段、とばかりにメニューの紙を突き出し、指先で示した。
「これ!」
「Pastry、OK(ペストリーですね)」
返って来た言葉に、ん?と思ったけれど、さっきのやり取りをまた繰り返すのはキツすぎた。
「イエス、イエス」