「……鳩みたいなもんなのかな……?」

公園にいる鳥としては、ちょっと大きい気もするけれど、ゆったり地面をついばむ様子から大人しい性質の鳥なんだろうと思われる。

大きめの鳩と言われれば、そう思えなくもないな、と、香耶は小さく頷き、そっと鳥から視線を外した。

ちょっと驚きはしたけれど、鳥のおかげでモヤモヤしていた気分がどこかに飛んで行ったようだ。

香耶は立ち上がり、潮風の中で、ぐっと伸びをした。

「まぶし……」

太陽はちょうど空の真ん中に上り、真夏の太陽がさんさんと輝いている。

光の強さは日本と変わらないと思うのに、オーストラリアのからっとした空気のせいか、じっとり汗ばむような暑さではない。

けれど、照りつける日差しに、むき出しの腕のあたりがヒリヒリしてきたような……

日焼け止めはもちろん塗ってきたけれど、これ以上この日当たりの良い場所にいるのは危ないような気がした。

「お腹も減ったし……もう行こうかな」

海を行く小さな船達のきらめきをもう一度眺めて目を細めると、香耶はその場所を後にした。