家族連れにカップル、友人同士で笑いあう人達。
幸せそうな彼らの姿を見る度に、胸が痛むのは、香耶が今、幸せを感じられていない証拠だ。
このまま日本にいたら、ツラすぎてどうにかなっちゃうんじゃないかと、気分を変えるため、こんなステキな場所に来たのに……情けない。
もう一度、大きなため息をついて落とした視線の先で、細く尖ったものが地面をつついて、香耶は眉をひそめて顔を上げた。
「えっ?!」
香耶の足先から1メートルも離れていない地面をつついていた細長いものは、その先に小さな丸い頭があった。
頭だけではなく、足もセットの体もあって……
そこにいたのは、長いくちばしを持った大きな灰色の鳥。
公園で群れている鳩によく似た色合いではあるが、ひょろりと首が長く、折れそうに細い2本の足が突き出している胴体は、鳩の3倍以上ある。
自分の膝よりも高い位置にある鳥の目が、香耶のよく知る鳥……鳩意外だと、例えば、カラスやニワトリなど……とは少し違った、のんびりした動きで動き、香耶の上でピタリと止まる。
「……っう、わわっ!」