久しぶりの確信に満ちた歩みで近づいていけば、白い石張りの外観とは違う近代的な構内が見え始めた。

「…………へぇ……」

歴史のある街並みとは少し雰囲気の違う、シンプルで清潔感のある駅の構内。

明るく開放的な雰囲気は、大きな窓のおかげだろう。

通勤の地下鉄で利用する、薄暗い地下鉄の雰囲気に慣れた香耶は、新鮮な気持ちで駅の構内を見回し、青地に白の細長いプレートを見つけて、あ、と声を漏らし、足を止めた。

「あれ……あ、サーキュラー、キー……よかった、ちゃんと着いた」

香耶が見つけた、決して大きいとは言えない青のプレートには、地図で見たのと同じ『Circular Quay』の文字。

間違ってはいないだろうと思いながら、どこか拭いされなかった不安が解消され、香耶はほっとして、また歩き出す。

ここからは、地図というより野生のカンというか、周りの様子を見ながら道を選ぶしかない。

「改札とかの矢印とは逆に歩いて行けば、多分、連絡通路があるはずよね……」

読めない案内表示のほとんどが示す矢印とは逆に向かって足を向け、不安の消えた香耶は、目に入る人や建物の様子から、迷いなく歩を進めていく。